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馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖
Surface Science, 593(1-3), p.324 - 330, 2005/11
被引用回数:6 パーセンタイル:30.07(Chemistry, Physical)極低温(9K)で凝縮した固体窒素表面を、低エネルギーHeイオン照射により高密度励起したときのイオン脱離機構について検討した。3keV Heイオン照射では、n=30までのクラスターイオン(N)の脱離が観測された。脱離強度はn=4までが大きく、n5では急激に減少した。またn5のクラスターイオンでは、偶数個のクラスターが隣接する奇数個のクラスターより常に大きかった。これらのクラスターイオンの分布は、気相における窒素クラスターイオンの安定性と一致した。また、比較のため測定した固体酸素,固体メタン,固体アルゴンからのイオン脱離強度も、それぞれの気体の気相での安定性と類似の傾向を示した。クラスターイオン分布の照射エネルギー依存性と、イオン照射部の時間に依存した温度分布の計算結果から、クラスターイオンの脱離は、イオン照射部分の局所的,瞬間的加熱による気化現象で説明できることを明らかにした。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; Wu, G.*; 北島 義典*
Surface Science, 593(1-3), p.310 - 317, 2005/11
被引用回数:2 パーセンタイル:11.64(Chemistry, Physical)回転型飛行時間質量分析装置(R-TOF-MS)を用いて、分子固体表面最上層で起こる結合解離と脱離過程における分子配向効果を研究した。凝縮塩化ベンゼンの質量スペクトル,電子収量法,イオン収量法による高分解能NEXAFSスペクトルの偏光角度依存性を報告する。凝集分子ではCl 2s*共鳴励起でClイオン収量が増加する現象に関して顕著な配向効果が観測された。下層による緩和に表面上の分子の結合方向が大きく影響を受けることから、この配向効果には電荷中性化緩和が重要な役割を果たしている。*共鳴励起では偏光依存性を全く示さなかった。このことから離れた原子を内殻励起しても「遠い」結合には直接解離が起こらず、おもに2次電子により解離が引き起こされるものと考察する。
池浦 広美*; 関口 哲弘; 馬場 祐治; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*
Surface Science, 593(1-3), p.303 - 309, 2005/11
被引用回数:5 パーセンタイル:26.1(Chemistry, Physical)われわれが近年開発した脱離イオン種をプローブとする(XAFS)分光法の基礎データ拡充のため、ホルムアミド分子の凝縮系試料の実験を行った。分子内のC, N, O元素におけるXAFS測定が可能でありC-H, N-H結合を区別して最表面の配向構造分析することが可能であることが示された。さまざまなX線励起エネルギー,生成物種,励起偏光角度について測定した飛行時間質量スペクトルから生成物が放出される際の初期運動エネルギーを求め、イオン脱離機構を調べた。運動エネルギーは発生メカニズム(直接解離/間接解離機構)を大きく反映すること、また多成分存在することが示された。